はちす(ハス)

スイレン科 多年生 水草・花期7〜8月.
万葉仮名 -- 蓮

ハスの花 2009.7.2 万博公園・日本庭園

ひさかたの 雨も降らぬか 蓮葉(はちすば)に 溜まれる水の 玉に似たる見む

[万葉集] 巻十六3837

ハスの葉に水滴と散った花びら

「蓮(はちす)」は、果実の入った花托の姿が蜂の巣に似ているので、「蜂巣(はちす)」と呼ばれ、それが訛って「蓮」になった。
蓮の原産地はインドといわれ、インドの国花。
気品にみちた大きな花は白やピンク、紅などがあり、芳香を放つ。
花は夜明け前後に開き、昼過ぎには閉じてしまう。
この開閉は、花びらが散るまでの3〜4日間くり返される。

蓮は仏教と深い関わりがあり、仏様は蓮台の上に立つか、座るかのお姿。
「泥中の蓮」という言葉がある。
泥の中に生じても、清らかな花を咲かせるハス。
汚れた環境の中でもそれに影響されずに、清らかさを保っていることのたとえ。

蓮根や種子は食用にされる。 また、蓮のほぼ全ての部分が薬用とされる。
種子は滋養と強壮作用、蓮根には血液を浄化する作用がある。
葉は万葉時代、食物を盛るのに使った。
今でもお盆には仏前に供物を盛るのに葉を使う。

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ゆり(ヤマユリ)

ユリ科 多年草・花期6〜8月.
万葉仮名 -- 由利、百合

ヤマユリ

道の辺の 草深百合の 花笑みに 笑みしがからに 妻と言ふべしや

[万葉集] 巻七1257

ヤマユリ

「百合(ゆり)」は、ユリ類の総称。
ユリは、古来より観賞用、薬用、ときに食用として利用されてきた。
ユリの名は、大きな花が風に「ゆる」あるいは球根の鱗片が「より」重なるところから変じたものといわれ、漢字の百合も多くの鱗片の重なりぐあいからきたといわれる。

花は容姿の気高さ、清楚さ、芳香で世界の人々に愛されている。
ユリ属は、北半球の亜熱帯〜亜寒帯に分布する。ヤマユリは日本特産。
ヤマユリは、大輪で先が反り返り、白い花の内側に赤い斑点と黄色の線があって豪華。
その強烈な香りは密室ではむせかえるほど。
ユリ根(鱗茎)は約10cmと大形、苦みがなくて甘い。

日本には、他にもササユリ、ヒメユリ、スカシユリ、カノコユリなどが自生し、夏の野山を飾る。
野に咲くユリの花が切り花として観賞されるようになったのは室町時代から。
園芸栽培による品種改良は観賞の歴史に比べて短く江戸時代後期になってからという。
(ヤマユリの画像 2010.07.25 六甲高山植物園で 花芯に昆虫がいる)

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ひさぎ(アカメガシワ)

トウダイグサ科 落葉高木・雌雄異株・花期6〜7月
万葉仮名 -- 久木

アカメガシワ雌花 2010.7.8 淡路市で

ぬばたまの 夜のふけゆけば 久木生(ひさぎお)ふる
清き川原に 千鳥しば鳴く

山部赤人 [万葉集] 巻六925

アカメガシワ新芽
 
「久木(ひさぎ)」は赤芽柏のことで、暖温帯の山野に生え、生長が速い。
赤芽柏の名は新芽が紅色で美しいことからついた。
夏、黄色の小花が多数集まって円錐状に咲く。
秋、果実が熟すと、中から黒紫色の丸い種子が3個でる。
大きな葉は昔から「柏」と同じように、食物をのせるのに使われた。
「五菜葉」や「菜盛葉」「飯盛葉」などと呼ばれる。
民間薬として、葉の煎汁を痔に外用し、また新鮮な葉汁を腫物の吸出しや痛み止めとして外用する。 樹皮はタンニンなどを含み、胃酸過多、胃潰瘍などの治療に用いられる。
果実と葉から赤色染料がとれる。

新芽の写真は、雨上がりに撮ったので葉が濡れて光沢が出ているが、実際は光沢がない。
 
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くれなゐ(ベニバナ)

キク科 二年草(越年草)・花期6〜7月
万葉仮名 -- 紅、呉藍、久禮奈為

切り花のベニバナ

紅(くれなゐ)の 深染めの衣(きぬ) 色深く
染(し)みにしかばか 忘れかねつる

[万葉集] 巻十一2624
 
紅花(ベニバナ)は、西南アジア原産のキク科二年草。 サフラワーともいう。
日本へは推古天皇の時代に朝鮮半島を経て渡来。
花から紅をとるほか、薬用にも栽培された。
古くはスエツムハナ(末摘花)、クレノアイ(呉の藍)とも呼ばれ、「末摘花」は「源氏物語」の巻名にもなっている。

現在は山形県最上川中流域を中心に栽培されているようで、県花に選定されています。
初夏に橙黄色のアザミに似た花をつけ、日がたつと赤色に変わる。
葉はアザミに似てとげがある。 とげが作業者の肌を刺すので、早朝または朝露の乾かないうちに花を摘む。
この花が淡い黄色に、または鮮やかな紅色の染料になり、口紅などの化粧品、漢方では婦人病薬に利用される。

1花に10〜100個の種子が実り、種子は紅花油を含み上等の食用油となる。
また、この油を燃やしたすすを集めて作った墨は紅花墨と呼ばれ、高級品。
切り花やドライフラワーにも使われる。
 
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くり(クリ)

ブナ科 落葉低木・雌雄同株・花期6〜7月 果実収穫9〜10月
万葉仮名‐- 栗、久利

クリの木 2010.6.21 民家の庭先

三栗(みつぐり)の 那賀に向かへる 曝井(さらしゐ)の
絶えず通はむ そこに妻もが

[万葉集] 巻九1745

クリの花
 
「三栗」は、一つのイガの中に三つの実が入っている栗のこと。
歌では真ん中の実を地名の「那賀」(なか)にかけた枕詞に使っている。

日本各地の山野に自生する柴栗(シバグリ)は栽培栗の原種。
日本栗の栽培種、丹波栗は大粒で味がよい。
花は雌雄異花、強い匂いを放ち虫を呼ぶ虫媒花。
白黄色の尾状の花穂の雄花、雌花は雄花の元に付き、殻斗(かくと)に包まれ、発育してイガとなる。
栗は縄文時代の遺跡から出土しており、古くから重要な食糧とされた。
 
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うのはな(ウツギ)

ユキノシタ科 落葉低木・花期5〜6月
万葉仮名 -- 于花、宇花、宇能花、宇能波奈

ウツギ 2010.6.25 六甲山で

卯の花も いまだ咲かねば ほととぎす
佐保の山辺に 来鳴きとよもす

大伴家持 [万葉集] 巻八1477

ウツギの花
 
「卯の花」はウツギのことで、山野や谷間などに自生する。
卯月(旧暦4月)に咲くことからこの名がついた。
ウツギは、幹の中が空洞になっているので「空木」(ウツギ)と書く。
花弁は5枚で細長く、大きさ2cmほどの白い花、枝先で円錐状の花房になって咲く。
ウツギの枝や葉、果実(種子)には解熱や解毒作用があり、民間薬にも使われている。

先日、六甲山で白いウツギがたくさん咲いているのを見た。
ウツギの花を近くでしげしげと見たのは、初めて。
小学唱歌「夏は来ぬ」で、「うの花のにおう垣根に………」と歌われている。
が、匂いは感じなかった。
 
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あぢさゐ(アジサイ)

ユキノシタ科 落葉低木・花期6〜7月
万葉仮名 -- 味狭藍、安治佐為

ガクアジサイ 自宅庭で

あぢさゐの 八重咲くごとく 八つ代にを
いませ我が背子 見つつ偲はむ


橘諸兄  [万葉集] 巻二十4448
 
「あじさいの花が幾重にもかさなりあって咲くように、いつまでも栄えてください ・・・・・・」と詠まれた紫陽花(あじさい)の語源は、「あづ(あぢ」は集まるの意味、「さあい」は真藍のことで、「あづ(あぢ)さあい」が転訛したものだとか・・ ?
青い花が集まって咲く様子からこの名が付いたといわれている。紫陽花
花の色がいろいろと変化し、土壌によっても変わるので「七変化」とも呼ばれている。
梅雨の季節、雨に打たれて咲く紫陽花は、みずみずしくてことのほか美しい。
 

シチダンカ アジサイ  
 

江戸末期に来日したドイツ人シーボルトは、著書「日本植物誌」で紫陽花を世界に紹介した。
最近、人気の西洋紫陽花(ハイドランジア)は、日本原産の紫陽花が西洋で品種改良され、逆輸入されたもの。 花は大輪で、藍、紅、白などがあり色鮮やかに咲く。
おみな はヤマアジサイ、中でもヤマアジサイの花が八重化したシチダンカが好き。
シチダンカは小型の両性花が消滅、残った飾り花が星が重なり合っているように咲き、とても可憐。。。星星星
 
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たけ(タケの総称)

イネ科
モウソウチクは多年生常緑竹・筍は4月
万葉仮名 -- 竹、多気

孟宗竹・筍  伊丹昆陽池公園で 2009.5.2

み園生(そのふ)の 竹の林に うぐひすは
しば鳴きにしを 雪は降りつつ


大伴家持  [万葉集] 巻十九4286
 
[万葉集]には、竹に関する歌が20首ほど詠まれているが、純然たる植物としての竹を詠んだ歌は4首のみ。
残りの歌は、直接的に竹を詠んだのではなくて、比喩として、枕詞として使われたり、それを材料にして作られた祭具、「竹玉」「竹珠」について歌われたりしたものばかり。

万葉集に詠まれたのはどんな竹だったのでしょう ・・・?

普段よく見かける竹は、真竹(マダケ)、淡竹(ハチク)、孟宗竹(モウソウチク)。
孟宗竹は中国原産で渡来したのは確か。真竹、淡竹は中国からの渡来説と、日本原産説に分かれているようです。
今、これらの竹は、日本原産と見誤られるほど全国各地で繁殖している。
日本原産のものは、篠竹(シノダケ)、業平竹(ナリヒラタケ)、阿亀笹(オカメザサ)など。

竹は主として地下茎で無性的に繁殖し、開花はきわめてまれ。花はイネの花に似る。
真竹は、記録によると約120年を周期として全面的に一斉に開花し枯死するが、開花してもほとんど種子ができない。
孟宗竹は、ふつうは一部分だけの開花だが、ときには竹林の竹が全て一斉に花咲き、種子ができる。
おみな は以前に、竹林一面が枯れているの遠目に見たことがある、竹の種類は分からないけれど・・・
竹の大開花の原因については、まだ十分解明されていないようです。
(平凡社大百科事典 参考)
 
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つつじ(ツツジの総称)

ツツジ科
ヤマツツジは常緑、半落葉低木・花期4〜5月
万葉仮名 -- 茵、都追慈、管士、管仕、管自

ゴヨウツツジ(シロヤシオ)六甲高山植物園 2009.5.14

風早の 美保の浦廻(うらみ)の 白(しら)つつじ
見れどもさぶし なき人思へば


河辺宮人  [万葉集] 巻三434
 
[万葉集]では白つつじ、石(いわ)つつじ、丹(に)つつじの名でも「つつじ」が詠まれている。
「丹つつじ」は赤系のつつじ。 赤系のつつじを歌ったのは一首のみ。
清楚な感じの白花が好まれたのでしょうか?
 
キリシマツツジ 長岡天満宮 2009.4.23
(キリシマツツジ 長岡天満宮 2009.4.23)
 
躑躅(ツツジ)には種類が何百種もあり、それらの総称です。
とくに日本は北海道から九州まで自生している種類も多く、庭園樹に多く利用されている。
初夏の山を彩る代表的な「ヤマツツジ」は、花色も紅、橙、桃、紫、白色といろいろ。
野生種でよく知られているものに、コメツツジ、ミツバツツジ、モチツツジ、レンゲツツジなどがある。
また、キリシマ、ミヤマキリシマ、ウンゼンツツジ、ヒラドツツジ、クルメツツジなどと、地名のついたのもある。
因みに、家の庭にはヒラドツツジのオオムラサキ(大輪の紅紫色)が咲いている。

つつじ 今まで訪ねたツツジの名所 つつじ

* 京都・長岡天満宮 --- 『長岡天満宮・・キリシマツツジ・・

* 西宮・広田神社 --- 『コバノミツバツツジ群落・***・広田神社

* 京都・梅宮大社 --- 『梅宮大社の「キリシマツツジ」と「まろや」

* 雲仙・仁多峠 --- ミヤマキリシマ 『長崎ピックアップの旅・・仁多峠・・

* 奈良・葛城山
 
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にこぐさ(アマドコロ)

ユリ科 多年草・花期4〜5月
万葉仮名 -- 似古草、爾古具佐、爾故具佐、和草

アマドコロ 六甲高山植物園 2008.5.25

葦垣の 中のにこ草 にこよかに
我と笑(ゑ)まして 人に知らゆな


([万葉集]巻十一2762)
 
「にこ草」は柔らかい草の意味。
「にこ草」を「甘野老(アマドコロ)」とする説や「箱根草(ハコネソウ)」とする説がある。
「箱根草」は箱根羊歯とも呼ばれる常緑多年草のシダ植物。

甘野老(アマドコロ)は、野老(トコロ)(ヤマイモ科)に似た根茎がある。
トコロのように苦くはなく、甘みがあるのでこの名がついた。
鳴子百合(ナルコユリ)と似ているが、茎に稜があって角ばっているのが特徴。
葉は幅が広く、鳥が羽ばたいた形のようについている。
花は葉腋に1、2個下垂し、花筒は白色で長さ1.5〜2cm、先は緑色を帯びている。
小さな丸い実がサクランボのように二つずつぶら下がって生るが、この実は有毒。
若芽(茎)や根茎は食用になり、甘煮や天ぷらにされる。
また、根茎にはアマドコロもナルコユリも同じ薬用効果があり、滋養、強壮剤にされる。
 
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